一般社団法人北海道ハイヤー協会(札幌市中央区、会長:今井 一彦)、北海道虻田郡倶知安町(町長:文字 一志)、北海道虻田郡ニセコ町(町長:片山 健也)、GO株式会社(東京都港区、代表取締役社長:中島 宏)は、倶知安町・ニセコ町(以下、ニセコエリア)における冬季期間のオーバーツーリズムによる交通課題解決の一手として『ニセコモデル』を立ち上げました。2023年12月から2024年3月までの4ヶ月間、札幌・東京などその他エリアからタクシー乗務員25名・車両10台をニセコエリアへ派遣し、ラストワンマイルの足を確保する実証実験となります。10月3日(火)には「オーバーツーリズムによる課題解消に向けたタクシー活用 ニセコモデル調印式」を執り行いました。

|2023年12月より『ニセコモデル』が始動

ニセコエリアでは、コロナ禍を経て復調傾向となっていた今夏より、北海道ハイヤー協会・倶知安町・ニセコ町をはじめ北海道運輸局・倶知安観光協会・倶知安商工会議所・ニセコリゾート観光協会・ニセコ町商工会・ニセコプロモーションボードなどが集まる有識者会議や北海道運輸局が主催する協議会にて、冬季期間のインバウンド需要急増による交通課題解消施策について検討を続けてまいりました。様々な交通モーダルの中でも、駅などの拠点から最終目的地までのラストワンマイルの移動において、個別輸送となるタクシーであれば観光客だけでなく地域住民の足もサポートできる可能性から、まずはタクシーでの課題解決を目指し、札幌・東京などからタクシー車両と乗務員を応援隊として派遣し稼働を行う『ニセコモデル』の実証を開始します。

一般社団法人北海道ハイヤー協会 会長 今井 一彦氏 ご挨拶
「ニセコ地区冬季期間はお客様が殺到します。この交通不全をなんとか解消するためにニセコモデルを始動することとなりました。オーバーツーリズムは全国至る所で起きることであろうと考えていますが、ニセコモデルにて我々タクシーが少しでも役に立てるよう頑張っていきたいと思います。」

|他営業圏からのタクシー派遣で供給力を強化

北海道ハイヤー協会をはじめ、全国ハイヤー・タクシー連合会、国土交通省協力のもと、ニセコエリア限定でタクシーの営業区域外旅客運送と遠隔点呼の仕組みを活用し、札幌・東京などのタクシー事業者から車両と乗務員の応援隊派遣を行います。本制度と遠隔点呼を活用した他営業圏からの応援隊派遣は日本初の取り組みとなります。
※ 道路運送法の禁止行為であるが、地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合は、自治体の法定協議会において協議が調ったときは運送可能となる。(道路運送法第20条第2号)

国土交通省北海道運輸局 自動車交通部長 中山 俊彰氏 ご挨拶
「ニセコエリアにおける冬季期間中のタクシー不足については、地元住民・観光客双方の移動に影響を及ぼすものであり、今冬実施される実証実験が今後の課題解決に向けた一助となるよう、行政としても制度的な整理など協力して参りたいと思っております。」

|町・観光協会・商工会・タクシー事業者が一丸となりプロジェクトを進行

派遣される乗務員の宿泊地や応援車両の営業拠点については、町・観光協会・商工会議所及び商工会の協力のもと、北海道新幹線開業に向けたトンネル工事に携わる方々の従業員寮を活用することで、観光客増加により逼迫される宿泊施設への影響も与えず稼働をすることが可能となりました。営業拠点では、各乗務員が所属元との遠隔やりとりにてスケジュール調整や点呼などを実施し、期間中乗務員25名・車両10台より営業開始します。なお、応援隊事業者の中から代表幹事社を選出し、現地における運行管理業務の委託も行っており、有事等における運行の安全の確保にも努めております。派遣される乗務員の地理知識やインバウンド接客対応の負担を補うこと、限られた車両を有効活用するため、応援隊車両はニセコエリア内の発着となるタクシーアプリ『GO』からの注文のみで営業を実施します。観光協会・商工会議所及び商工会協力のもと、エリア内店舗や交通拠点などランドマーク施設にてアプリマーケティングを行い、インバウンド客への『GO』の周知を行い、注文集中を狙います。また、ニセコモデル稼働期間中のエリア内でのアプリ注文においては、通常運賃に加え観光手配料900円をお客様よりいただき、本実証にかかる経費を賄います。
一方地元タクシー事業者に対しては、有事の際の初動対応サポートのほか、地元住民向けの移動を担保するべく営業手当の拠出を行い、地元住民からの電話注文など従来の営業方法での稼働を下支えすることで、地元事業者と応援事業者が一丸となり供給力向上を目指します。

倶知安町 町長 文字 一志氏 ご挨拶
「今日ようやくこの日を迎えられて喜んでいます。感謝感謝です。ニセコエリアの公共交通の一翼を担っているタクシーを、観光客だけでなく地元住民も大変頼りにしています。観光客の皆さんにタクシーを使っていただくことは喜ばしいことである一方で、これまで利用していた人が利用できず、死活問題となっていました。電話対応もできないくらい、手が回らないという事業者さん。それが地域の最大の課題です。今回地域の実情を聞いていただき、皆さんのご尽力のおかげで本日の調印式に繋がりました。」

ニセコ町 町長 片山 健也氏 ご挨拶
「コロナ禍が明け、タクシーがいないというのは本当に大変な状況でした。冬場にホテルを回るとロビーに人が溢れていて、タクシーが捕まらないという声を多くいただきます。おかげさまでインバウンドが回復し、観光客だけでなく地元民も移動ができないという状況でしたので、今回の取り組みは地元としては本当に感謝しかありません。ニセコモデルを通じて持続可能な観光地になっていけるよう尽力したい。」

GO株式会社 代表取締役社長 中島 宏氏 ご挨拶
「アプリを通じたDX、ニセコモデルとしての取り組みによって、これまで解決できなかった移動の課題が解決できると考えています。まずは今冬の活動を通じてノウハウが溜まっていくと思うので、タクシーアプリを全国で展開している立場としては、他観光地や他エリアでの展開など、取り組みをしっかり広げていくことを目標に、しっかりやっていきたいと思います。」

衆議院議員 中村議員 ご挨拶
「私の選挙区のニセコですが、多くの外国人観光客の皆さんがいらしてお住まいの皆さんのタクシー利用が困難になっているという状況です。そのような中、国土交通省、運輸局の皆様のご協力もありニセコモデルが実現しました。ライドシェアと異なり、しっかりとした安全管理をもとにした取り組みですので、公共交通であるタクシーが最後の砦として頑張っていければと思います。」

北海道 土屋俊亮副知事 ご挨拶
「この度ニセコモデルの調印式が行われること嬉しく思います。コロナ明けで北海道は多くの観光客がいらしています。特にニセコエリアには世界一の雪質を求めて世界中からお客様がいらっしゃいます。いわゆるオーバーツーリズムが問題となっている中で、札幌・東京などから応援していただく、このニセコモデルの成功が観光地としての魅力を高めてくれ、リピーターを作る良い循環になると思います。道庁も皆さんと一体になりながら頑張りたいと思います。」

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会 川鍋 一朗会長 ご挨拶
「全国でタクシーが足りないという声をいただいています。コロナを乗り切り乗務員が2割ほどいなくなってしまった。その中でもステークホルダーが力を合わせることでタクシーを進化させることができると思います。町、行政、事業者が一致団結したニセコモデルは全国でも極めて珍しい初めてのケースです。このモデルを全力で後追しするとともに、他地域への展開など、勉強させていただきたいと思います。」

|それぞれの役割と今後の狙い

今冬からの稼働では、インバウンドや地元住民の移動体験についてのヒアリング、地元事業者・応援事業者の稼働や収益状況を踏まえ、事業の継続可能性を検証していきます。ニセコエリアの交通課題解決への貢献を図るほか、ニセコエリアに関わらず全国様々な地域で起こりうるオーバーツーリズム対処の新たなモデルケースとなることを目指してまいります。

【それぞれの役割】

  • 北海道ハイヤー協会:運輸局や全国ハイヤー・タクシー連合会への要請・全体スキーム構築
  • 倶知安町・ニセコ町:乗務員宿舎や地元タクシー事業者への営業手当提供
  • 倶知安観光協会・倶知安商工会議所・ニセコリゾート観光協会・ニセコ町商工会・ニセコプロモーションボード:交通拠点や店舗などでのインバウンドマーケ協力・乗務員の待機所提供など
  • 応援隊参画事業者:ニセコエリアへの車両と乗務員派遣・運行管理
  • 地元タクシー事業者:緊急時の初動対応・地元住民の需要対応
  • GO株式会社:システム提供とスキーム構築

【車両・乗務員の応援隊派遣を行う参画予定事業者】※発表時点、50音順

  • 札幌 北びしハイヤー株式会社 / 興亜第一交通株式会社 / 新雪交通株式会社 / ダイコク交通株式会社 / 東邦交通株式会社 / はまなす交通株式会社 / 明星自動車株式会社
  • 東京など他エリア 調整中