長野県北佐久郡軽井沢町(町長:土屋 三千夫)、軽井沢タクシー協会(会長:松葉 和彦)、軽井沢町商工会(会長:中里 順一)、一般社団法人 軽井沢観光協会(会長:土屋 芳春)、軽井沢ホテル旅館組合(組合長:鈴木 健夫)、GO株式会社(代表取締役社長:中島 宏)は、軽井沢町における観光客増加による交通課題解決の一手『軽井沢タクシー供給強化プロジェクト』として2024年2月に連携協定を結び、複合的な施策・取り組みを行っております。最繁忙期である夏の期間においては稼働車両数が昨年比で約3割増加するなど供給強化につなげることができ、アプリからのタクシー利用ではプロジェクト期間を通じて概ね80%以上のマッチング率の維持などラストワンマイルの交通利便性の向上に寄与しています。この成果を踏まえ関係各所の協力のもと、引き続き本プロジェクトを進行してまいります。
※マッチング率:タクシーアプリからの利用者の注文件数と注文に対する乗務員の承諾件数の割合

|3本の柱で観光地特有の移動課題の解決を目指す―プロジェクトの概要

軽井沢町では、観光シーズン中の観光客増加が顕著となり、春の大型連休や7月から9月の夏季期間、11月の紅葉期間などの繁忙期間は移動需要が局地的に膨れ上がるため、観光客・地域住民共にラストワンマイルの移動が困難となっています。一方、地元タクシー事業者ではドライバー確保が困難な状況であること、また繁忙期と閑散期との需要変動が大きいことにより適正な車両台数の確保が難しい状況となっています。この課題を解決すべく、2024年2月に官民連携で連携協定を締結しスタートしたのが『軽井沢タクシー供給強化プロジェクト』です。下記を“3本の柱”とした複合的な施策によって、地域交通の担い手および移動手段を確保し、軽井沢町内のラストワンマイルの移動をより便利にする取り組みを推進しています。

① タクシー車両へのタクシーアプリ『GO』導入:ベース供給力の強化
2024年3月には軽井沢町の全タクシー事業者でタクシーアプリ『GO』を導入。都市圏からの観光客が使い慣れたアプリから合計107台のタクシー車両を呼べるようになった他、1台あたりの生産性を向上してベースとなる供給力を強化しています。

② 日本版ライドシェアの活用:需要ピークの曜日・時間帯に合わせた供給の確保
2024年4月より、地元タクシー事業者による日本版ライドシェア(自家用車活用事業)を開始。一般ドライバーの採用による担い手の確保と、自家用車およびタクシー事業者が保有する遊休車両の活用により、移動需要の集中が予測される曜日・時間帯においてタクシー車両に加えてライドシェア車両を稼働させ、稼働車両数の増加につなげています。

③ 周辺地域からのタクシー応援隊派遣:最繁忙期の局地的需要に合わせた供給対応
年間最大の繁忙期となる夏の供給対策として、一般社団法人 長野県タクシー協会(長野市大字高田、会長:山谷 恭博)の協力のもと、期間限定でタクシー車両・乗務員を長野県内の周辺地域から派遣する応援隊施策を実施。2024年7月12日(金)から9月27日(金)までの間、佐久交通圏の3社11台が週末およびお盆の時期のピーク時間帯を中心に軽井沢町内で稼働し、アプリからの注文に対応しました。

また、これらと並行して、参画団体によるアプリ利用の周知促進やライドシェアドライバー求人の支援、供給強化施策を通じて得られたデータ分析とその結果に基づく運行・運用の改善といった施策を継続して行っています。

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図:3つの施策と需給対策のイメージ

|地域内のタクシー供給量が改善―プロジェクトの取り組み成果

これらの施策の順次開始と拡充により、移動需要の増大に対応した車両供給の確保が実現しました。最繁忙期であるお盆期間のピーク時間帯(夕方16時台)においては、地元のタクシー車両の稼働増台に加えてライドシェア車両および応援隊車両の稼働があったことで、昨年比で稼働台数が31.3%増加(25台増)しました。また、ライドシェア車両および応援隊車両で全実車数の約4割をカバーする日もあるなど、ラストワンマイルの移動手段として大きく貢献しました。なお、日本版ライドシェアについては、見込まれる需要増大に合わせた稼働ができるよう制度を活用し、1日最大15台が稼働しています。

また、需要予測に基づく稼働車両数や稼働シフトの調整により、アプリからのタクシー利用におけるマッチング率はプロジェクト期間を通じて概ね80%以上の水準を維持しました。夏の最繁忙期を終えたなかで、複数の町内関係者からも昨年に比べてタクシーの利用しやすさが改善したという声をいただいています。

|来期のピークシーズンに向けて

今期の取り組みにより、需要予測の精緻化・繁忙タイミングに合わせた担い手の確保といった課題のほか、繁忙日の交通渋滞など交通全体の課題があることも見えてきました。特に自家用車の流入集中によるお盆期間の渋滞時は営業効率の極端な低下が見られ、単純なタクシー稼働の増加だけでは解決が見込めないことが明らかになってきています。町内で使われる移動手段としては自家用車利用が圧倒的に多いなかで、様々な交通モードや関係各所の取り組みとも役割分担をしながら、移動課題解決に向けて議論すべきという認識をすり合わせることができたことも一つの成果です。
引き続き6者の連携協力により、これらの課題解決の方策を来年の繁忙期に向けてデータドリブンで模索しながら、観光客および地域住民の「移動の足」の確保に貢献してまいります。